私は仕事中で崩れそうな東京の古い建物の中で揺れていた。

あの日のことは今でも鮮明に覚えてる…

それからは、気づかないうちに自分の一部に居座る感覚があって色々なことがある度にその感覚が何かを訴えかけて来る。

小さい頃の経験も、些細に思えるような事でさえ今の私を作ってしまっている。

人生に無駄なことなどない、経験が人を育てる…美しく言えることは言えるし、実際にそうであるとも思うけれど…

経験しなくてもいいこともある、と思う。

実際にその場所に居て経験してしまった人たちは、もう逃れられない出来事に直面して、その事が形上終わったとしても終わらない事実と感覚と共に生きていかなければならない。

もう二度とその事を経験していない自分を取り戻せないということ。

それはとてつもなく残酷なこと。

私たちには選ぶことにも限界があって、そこには偶然なのか必然なのか出会わなければならない人や出来事がある。

自分自身でどうにかできることなら、やはり誰かのせいではなく誰かの力を借りてでも最後には自分自身の力で乗り越えていくことなのかもしれない。

それでも、避けられない現実や世界があるのなら…それは変えていかなければならないし、変えようと努力しなければならない。

私は無知でボーっと生きている人間で何も偉そうには言えないけれど、そうする為にも個々の力を付けていくべきだと感じる。

そしてその個々を包む世界は、そのひとつひとつを育てる場所であるべきだとも思う。

感覚でしかものを言えない自分が悔しいけれど…そんなことを思っている間に日付が変わってしまった。

石巻もあれから訪れていないし、空気や電波で繋がっている人たちもいるけれど…

また直接会いに行かなきゃ。

これから、みんな心から笑える瞬間が増えますように…