あの日は朝からCDが届くかも…とソワソワしながらも、充分な睡眠時間を確保して…起床。
いつも通りの過ごし方で、一日を始める。
正午になる頃…インターホンが鳴ってCDが到着。ホッとしてプレス会社とメールのやり取り、中身チェック、荷物整理。。
準備を終え会場へ…そして、当日流す映像のチェックを曲毎にするのでトータル2時間半のリハーサル…間に2部のシークレットゲストだったジャズピアニストの飯沼さんとのフルリハーサル。
普段そんなにリハーサルの時間が取れないので加減がわからず、流石に喉がちょっと疲れ始めるのが気になって後半は適当に歌いながらタイミングを確認。
そうこうしているうちにもう会場時刻が迫ってくる。。
物販の準備も出来ていないので、急いでテーブルに並べる。
何も食べないわけにもいかないので、コンビニでおにぎりを2つと暖かいほうじ茶を購入。
楽屋で食べていたら、とあるお世話になった女性がお花を届けてくださってご挨拶に来てくださった…秋元きつねさんと共通のお知り合いの方。
再会を喜ぶのも束の間、もう本番が始まる…今日はたっぷりやるので遅らせられないぞ!ということで、ほぼオンタイムでステージへ。。
いつもは小さな小さなお部屋みたいなライブハウスで歌っている私には大きな会場の「晴れたら空に豆まいて」がたくさんのお客さんで埋まっているのが暗闇から見える…「すごい、あんなにキャンセルがあったのに。。」
私は自分の置かれている状況の幸せを噛みしめながら、とにかく一曲一曲を大切に歌おうと気持ちを集中させた。
声の調子はやはり長時間のリハーサルが影響してか100%ではない…でも、そこまで悪くもない。。
最後まで私の声で歌いきれるか…でも、信じるしかないから、やれるって信じてとにかく大切に歌う。
曲間のお話は相変わらずマイペースな私だけど、ずっと知っているお客さんや、最近出会ったばかりのお客さん、色々な方々が入り混じった会場なのにとっても暖かい。
私は得意の緊張もほぼなく、ちょうど良いくらいの空気の張り感に支えられ、一曲一曲と前に進むことができた。
皆、楽しんでくれているのかな…って不安がよぎることもあったけれど、とにかく今まで色々と想像して準備してきたのだから、この場を、この場にいる人たちを、自分を信じよう。
一部が終わって休憩に…その間、私が9月に入って7年ぶりに訪れた石巻の映像が流れる。
私は着替え、そして少しボケーっとしてみる。
ライブハウスのスタッフの方がやってきて、「少しおしてますね…帰る時間を気にしている人もいますし、早めにはじめますか?」と。
私としてはやっぱり丸ごと楽しんでもらいたい気持ちはあるし、トイレに並んでいる人を焦らせたくもないので少々悩みつつも、ほんの少しだけ早めにスタートすることで合意。
2部はピアノの弾き語りから…自分の匙加減でテンポはいくらでも変わってしまう生演奏…それでも、焦って演奏するわけにはいかないので、やはり基本的にはいつも通りに歌う。
そして、いよいよジャズピアニストの飯沼さんを呼ぶ時間。
2人でリハーサルしたのはたったの一回。私の曲とジャズスタンダードの曲を2曲ずつ。
もう、技術ではどうにもならないことはわかっていたから、とにかくその場の感覚だけで楽しもうと決めていた。
飯沼さんのソロは素晴らしく、お客さんからも拍手が来て「あ、楽しんでくれてる」と私も嬉しくなる。
自分がどんな動きをしていたのかはあまり覚えていないけれど、ハンドマイクで歌うなんてことがあまりになくて無駄に動いていた気がする。
実際、終わってからとある昔からお世話になっている方にディズニーランドみたいだったと、今までにないものを見たと(たぶん良い意味で)言われた。
その後は、また独り…独りは嫌いじゃないんだよ。
以前は歌うので精一杯、自分自身が張り詰めたもので覆われていたのをなんとか振り絞って出していたし、綺麗事が嫌で明るく振舞えなかった。というか考え過ぎてた。
でも、もう今は私というものを随分受け入れることが出来ているから、良い部分も悪い部分も、もうその時に思ったことを言ったりやったりすることが最後には一番だって思えるから、最後は笑って終わりたかった。
光の中の影は美しいし、光だけじゃ眩しすぎるから、やっぱり木陰は必要なんだけど、それでも最後には光を見たいのが人というものではないかしら?
それで、最後はちゃんと優しい笑顔で終われる曲たちに。
アンコールはいただかないことが殆どだけど、もう会場の雰囲気がそうさせてくれたのか誰かが頑張ってくれたのか、呼んでくれた。
引っ込み思案の私と私のお客さん…そう思い込むのも間違いかもしれないね。
全て歌い終えて、思わず石巻から観に来てくれた方のお名前を呼んでしまう。
皆、ありがとう。愛するって軽々しく使うものじゃないけど、なんだか愛がいっぱい感じられる幸せな空間だった。
私はたくさんの愛と愛情を感じたよ。
終わってから気づいたけれど、何人かの方が途中で帰らなければならなかった結果になってしまっていた。
最初から聞いていた人もいたけれど、それ以外にも。。
月曜だから遅めのスタートがいいのかな…当分やれないからたっぷりやるんだ!は私の判断ミスか自己満足かな…映画は最後まで観ないと完結しないのに。。と自己嫌悪。
それでも、途中に帰らなければならなかった方々からも満足して帰ったと、連絡をいただいて…それでも、まだなんとなくやりきれなさは残るけれど、やっぱり有り難かった。
平日だから、そして月曜日だから、それに遠方から来られる方もいるのだからパーフェクトには無理だとしても…課題は残る。
その頃はまだ状況がわかっていなかった私は、物販に立ってご挨拶、そしてサインをさせていただいた。
皆さんの直後のリアルな反応がいただけるのは、私にとってすごく貴重なこと。
あぁ、今日はきっと良い夜になったんだなぁと感じさせてもらえて、「naomiちゃん顔色悪いよ」ってある人に言われて驚いたけれど、私の心は桃色でした。
今までで一番たくさんの方と過ごした、忘れられない夜。
耳には入っていない不満もきっとあったと思うけれど、とにかく私はこのイベントをやろうと決めて本当に良かった。
きっかけをくれた人、CDを、映像を、当日の全ての要素を作り上げる為に協力してくれた人皆に、心から感謝の気持ちを送りたい。
家族もね、皆来てくれたの。母も誕生日だしね、naomi onと同じ。
たくさんの素敵なお花と、プレゼント、そして笑顔、忘れません。
この先、ライブハウスでの演奏がいつ再開できるかまだわからないけれど、、私にとっての一番素直でいられる場所が音楽である限り、来てくれる方と同じ時空間シェアして歌います。
いつも見守ってくれて、応援してくれて、本当に本当にありがとう。
またね!